ケンタッキー出身のカントリーギタリストで、その実力は Chet Atkins からのお墨付き。Chet が賞賛したギタリストはかなり多いが(笑)、Tommy Emmanuel のような Chet スタイルを凄まじいかたちで発展させたギタリストに比べると、Ray のプレイはまさに Chet 譲りのトラディショナルなもの。Chet 亡きあと、あの朗らかで優しいギャロップを聴きたくなったなら、Ray Cummins は間違いなくお奨めである。
5歳の頃からアコーディオンやトランペットを演奏していた Ray Cummins だが、ギターに転向するきっかけは16歳で病床に臥した際に父親から慰めに与えられた中古ギターと Chet Atkins のレコードだったという。Boston Pops Orchestra と共演したそのレコードのゴージャスさに圧倒され、いつかは Chet のように「Alabama Jubilee」を弾きたいと想いは募り、今日の彼がある。

欧米でのクリスマスは盆と正月がいっぺんにやってくるようなものだからして、その時期に投入される商品の勢いも凄いのだろうが、ギター音楽も勿論例外ではない。という訳で、カントリースタイル・ギターによるクリスマスソングアルバムである。Ray Cummins は、日常的に教会でのゴスペル(アカペラでコーラスすることが「ゴスペル」ではないよ、念のため ^^;)コンサート・サーキットを行っているそうだから、熱心なクリスチャンでもあるのだろう。そんな彼がそれなりの想いを込めて作ったこのアルバム、ジャストタイムな打ち込みバック演奏だったり要所要所にコーラスが入ってたりで、なんというか、カラオケとして機能しそうな造りである。俗っぽいと片づけるのは簡単だが、このCDをかけながらホームパーティでクリスマスソングを唱和する善男善女たちを思い浮かべると、Ray Cummins の願いが判るような気もする。
そんな思い込みで耳を傾けると、15曲目の Chet のアレンジそのままに奏でられる「Away in a Manger」には、宴の後の虚脱感と新年への期待が入り混じったような美しさがある。考えすぎ? (笑)