類まれなる美しいフレーズの数々を、ギブソンの175等を用いて「アンプラグド」で奏でることで有名なジャズギタリスト。アンプを通した録音が少ない訳ではなく、そのメロウなトーンは、アタックの強いアコースティック録音と対峙しつつ調和をとる。テクニックの正確さでは、後進の若いギタリスト達に遅れをとるものの、スタンダードナンバーの見事な解釈と「美しさのアンプリファイ」は彼一流のものが、確かにある。筆者はアイバニーズのジョーパスモデル・レプリカを所有しているが、彼を真似てフラットワウンドのぶっといゲージを張ってみたことがある。スケールとかはともかく、ジャズの複雑なコードは押さえるだけで大変だった。
Pass にはソロ名義の他にも、Ella Fitzgerald をギター1本でバックアップした一連のシリーズがある。それはもう大好きなのだが、インストアルバムを選出するというタテマエを自らに課してしまったのだから、もうコレっきゃないだろう。「Virtuoso」。'74年に出た、ギター1本無伴奏という稀なジャズアルバムである。ほとんどがアコースティック録音(卓にダイレクトインという説もあり)であり、主題の間を縫うように展開されるフィルインの豊富さには圧倒されるばかりである。「How High The Moon」でルバートからインテンポに移って行く瞬間は、いつ聴いてもゾクリとさせられる。