ボサノバ版「炎のギタリスト」。速い・激しいだけなら、故 Raphael Rabello みたいに凄いのがいる。でも、精神の暗黒面の深さを覗かせる Baden こそ、やはりボサノバのカリスマである。一時、ノイローゼに陥り「バターくらいしか食えない」という情報で心配させられたが、持ち直した後はアルバムも発表する等、円熟味の増した演奏活動を続けていた。かつての鬼神から仏の笑顔の好々爺へ。Django の晩年を思わせるなぁ。
MPS時代の3枚「Tristeza on Guitar」「Poema on Guitar」「Apaixonado」を2CDにまとめた凄いリイシュー(ポリドールさん、パチパチ)。1曲目「Tristeza」のイントロのチョップを聴くと、今でも肌が粟立つ。少し後年の無伴奏ギターソロ曲「Samba Triste」もいいが、このアルバムを支配している熱気には勝てぬ。同収録曲では野心作のバッハ風「Invencao Em 7 1/2」や Monk 作品「'Round about Midnight」も必聴。