田中 彬博

(たなか あきひろ)

Bio

日本 , 1986-1-2 〜

Genre

ニューエイジ

Keywords

スティール弦ギター フィンガーピッキング

Profile

'01年から始まり、毎年の開催の度に赤崎郁洋伍々慧といった新世代のアコースティックギタリストを輩出してきた、モリダイラ・フィンガーピッキング・デイからまた一人、超有望株の登場だ。京都出身の田中彬博である。誤解を恐れずに言えば、田中彬博は「普通のギタリスト」だ。聴き手の耳を奪い取るような特殊奏法や超絶技巧を繰り広げる訳でもなく、ただただ、たゆたう心象を飾らずに温かく紡ぎだす。御大・吉川忠英氏が評して曰く、「熟せる若きアコギスト」というのは言い得て妙としか言いようがない。'86年生まれのニューカマーにもかかわらず、まるで、あれこれ試行錯誤を重ねて一回り二回りのキャリアの末に辿り着いた普遍の境地のような佇まいが、田中彬博のまわりには漂っているからである。また、岸部眞明を彷彿とさせるメロディメイカーでもあることも、特筆すべきことだ。レコードデビュー以前から欧州や中国各地でツアーし、実力を認められてきたこの若いギタリスト。ギターファンならずとも音楽好きを自認する人なら要チェックだろう。

Disk

harukaze harmonics

harukaze harmonics

'08年発表のデビュー作であり、ギター一挺だけの純度100%のギターアルバムだ。イレギュラーチューニングやタッピング等の Hedges 以降のギターインベンションが、まるで水や空気の如くあたりまえに上質のギター・ミュージックに溶け込んでいる。さて、トップナンバー「中庭」を聴いた時は正直、よくあるアコギインストだな、とあまり感心もしなかった。3曲目「太陽のエチュード!」でも小気味よいテンポにハネるグルーヴ感が気持ちよいものの、いまひとつ彼の個性を測れるものではない気がした。聴き進めていって、鳥肌が立ったのは5曲目の「call」。淡々と打たれるタップのリズムに音数を押さえて織り込まれた哀しげな旋律。なにやら Preston Reed を連想するな、という印象があったがそれが確信のようなものに変わったのは、10曲目の「flower」だ。6分を超える長尺のこのナンバー、ニューエイジギターのお手本のようなオープニングで始まるが、ようやく3分を過ぎたあたりで、押さえていた感情が堰を切ったようなリフレインが弾かれると表情が一変する。5度の音を通奏音にベースが切なく下降するヴォイシングの、印象的なフレーズだ。そうだ、この若いギタリストはリフを作るのが上手い!! 自分のようにロックで育ってきた人間には、16小節で上がったり下がったりする起伏豊かなメロディよりは、少ない音でギラッと光る数小節のリフを畳み掛けることでもたらされる快感は、とても重要なのだ。さらに言えば、日本人はどちらかと言えばリフ作りが得意とは言えないとも思う。この一点だけでも、田中彬博は特別なギタリストだ。少なくとも私にとっては。


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Links

http://tanakaakihiro.com/

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